用途地域ってなに?住宅を建てる前に必ず知っておきたい基本

家づくりを考えるとき、まず多くの方が注目するのは「立地」や「土地の広さ」ではないでしょうか。
しかし実は、その土地でどんな建物が建てられるかを決めている“法律上のルール”が存在します。
それが**用途地域(ようとちいき)**です。

用途地域は都市計画法に基づいて定められており、土地の使い方を大きく13種類に分類しています。
住宅地、商業地、工業地など、それぞれの地域で建てられる建物の種類や高さ、規模などが細かく制限されています。
つまり、用途地域を理解することは、理想の家づくりの第一歩なのです。

■ 用途地域の目的と仕組み

用途地域が定められた目的は、都市の無秩序な発展を防ぐことにあります。
たとえば、静かな住宅地のすぐ隣に大規模な工場が建ってしまうと、騒音や振動などのトラブルが発生します。
そのような事態を避け、「住む」「働く」「商う」などの機能を適切に分けることで、快適で安全な街をつくるのが用途地域の役割です。

全国の市街化区域では、この用途地域がすべての土地に指定されており、建築計画の基本となります。
「この地域には住宅を中心に」「この通り沿いは商業施設を中心に」といった方針をもとに、都市全体のバランスが保たれています。

■ 用途地域の種類と特徴

用途地域は全部で13種類あり、大きく「住居系」「商業系」「工業系」の3つに分類されます。

▪ 住居系

住宅を建てる方が最も関係するエリアです。
中でもよく見られるのが以下の3つです。

  • 第一種低層住居専用地域
     一戸建て中心の静かな住宅地。高さ制限(10mまたは12m)があり、日当たりや景観を守るためのルールが厳しく設定されています。

  • 第二種低層住居専用地域
     住宅地でありながら、小規模な商店や事務所の併設が可能。住宅街の中に理髪店やパン屋さんがあるようなイメージです。

  • 第一種中高層住居専用地域
     3階建て住宅や小規模なマンションなど、中層の建物が建てられるエリア。比較的利便性の高い地域に多く見られます。

そのほか、「近隣商業地域」や「商業地域」では店舗や事務所も建てられますが、住宅も併設可能です。

一方で「準工業地域」「工業地域」などは、工場などの事業用途が中心になります。


■ なぜ用途地域の確認が重要なのか

一見するとどの土地も「家が建てられそう」に見えますが、用途地域の違いで建物の高さ・配置・面積・用途が大きく変わります。
たとえば、第一種低層住居専用地域では3階建て住宅が建てられない場合があります。
また、同じ土地面積でも「建ぺい率」や「容積率」が地域ごとに異なるため、
思っていたよりも小さな家しか建てられないこともあるのです。

こうした制限は、市役所の都市計画課などで確認できますが、一般の方には少し難解な部分もあります。
そのため、土地探しの段階から建築士に相談し、**「その土地にどんな家が建てられるか」**を一緒に確認することが大切です。


■ 中村建築研究室のサポート

中村建築研究室では、土地選びのご相談段階から、
用途地域や建ぺい率・斜線制限などの法的条件を踏まえてプランニングを行っています。

たとえば、
「第一種低層住居専用地域だけど、広がりを感じる平屋にしたい」
「北側斜線をうまく避けながら、勾配天井のリビングを実現したい」
といったご要望にも、法律とデザインの両面から最適な形をご提案します。

用途地域を“制限”ととらえるのではなく、敷地の個性を活かすためのルールとして理解することが、
理想の家づくりを成功させるポイントです。


■ まとめ

用途地域は、土地の価値や暮らし方に大きく関わる重要な要素です。
「土地を買ってから建てられないことがわかった」という失敗を防ぐためにも、
早い段階で建築士と一緒に法的条件を確認しておくことをおすすめします。

中村建築研究室では、姫路市周辺を中心に、地域の法規制に精通した家づくりを行っています。
土地選び・プランニング・確認申請まで一貫してサポートいたしますので、
ぜひお気軽にご相談ください。