住宅を設計するうえで、外観デザインは「家の顔」となる大切な要素です。 しかし、打合せ時は間取りに意識が向きがちで、外観への配慮が後回しになりやすい部分でもあります。 中村建築研究室では、外観デザインを “暮らしを映す器” と捉え、以下のポイントを軸に設計を行っています。⸻ ■ 1. 形だけでなく「暮らし方」が外観を決める 外観は単なる意匠ではなく、 内部でどのように暮らすかを反映した結果として生まれるもの です。 例えば、 •日中リビングに光を取り入れたい •道路からの視線を遮りたい •屋内外をつなぐデッキがほしい といった暮らしの要望を整理していくと、 おのずと窓の位置や大きさ、屋根形状が決まっていきます。 “外観は内観の延長である” これが、私が大切にしている考え方です。
■ 2. 色と質感は「経年変化」を見越して選ぶ 外壁を決める際、多くの方がカタログの色だけで判断しがちですが、 実際の外装は 光の当たり方・陰影・素材感 によって印象が大きく変わります。 特に住宅街においては、 •周囲の建物との調和 •経年劣化が目立ちにくい色 •メンテナンス性 を考慮することが重要です。 中村建築研究室では、 “10年後に味わいが出る外観” を一つの基準に素材を提案しています。
■ 3. 窓のバランスが美しさを決める 外観デザインで最も影響を与えるのが「窓の配置」です。 ✔ 大きすぎる窓は内部が丸見えになる ✔ 小さすぎる窓は暗く閉鎖感のある印象になる ✔ ランダムに配置すると外観に落ち着きがなくなる 窓の並び・高さ・形状を意識するだけで、住宅の表情は驚くほど整います。 中村建築研究室では、 立面図を描く際に**“余白の美しさ”** を重視し、 可能な限りラインを揃えることを徹底しています。
■ 4. 平屋・二階建てで異なるデザインの考え方 ◉ 平屋の場合 •水平ラインの見せ方が重要 •軒の出でプロポーションが決まる •建物の奥行き感が印象に影響する 敷地条件に合わせて、のびやかな外観 を意識しています。 ◉ 二階建ての場合 •重心が高くなるため、素材の切り替えで安定感をつくる •バルコニー部分の見せ方で印象が変わる 全体のバランスを調整して、軽やかで落ち着きある外観 に整えます。
■ 5. 夜の外観(ライトアップ)もデザインの一部 昼間だけでなく、夕方〜夜にかけての見え方も住宅の美しさを左右します。 • 間接照明で玄関まわりを柔らかく照らす • 足元を安全に導くアプローチ照明 • 植栽ライトで外観に奥行きを出す “帰ってきたくなる家” をつくるために、照明計画も外観デザインとセットで考えています。
■ まとめ 外観デザインは、ただ「おしゃれにする」ためのものではなく、 暮らしやすさ・住まいの価値・街並みとの調和 を生み出す大切な要素です。 一つひとつの選択が、その家の未来の表情を決めていきます。 中村建築研究室では、お客様の暮らし方を丁寧にヒアリングし、 “機能” と “美しさ” が両立した外観デザインをご提案しています。 家づくりをご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

