心地よさは「内と外のつながり」から生まれる
家の中で過ごす時間が増えた今、
“外とどうつながるか”が暮らしの質を大きく左右します。
中庭やデッキ、大きな窓の配置。
それらは単なるデザインではなく、
空間を広く、光を柔らかく、暮らしを豊かにする仕掛けです。
今回は、中村建築研究室が大切にしている
「外とつながる暮らし」の設計ポイントをお伝えします。
1. 内と外を“分けない”設計
▸ 床レベルを揃えて一体感を演出
リビングとウッドデッキの高さを揃えると、視線と動線が自然に外へ広がります。
段差がないことで、まるで部屋が外まで延びたような開放感が生まれます。
▸ 同素材・同色で空間をつなぐ
フローリングとデッキ材を近いトーンで揃えると、
“内”と“外”の境界が曖昧になり、ひとつながりの大きな空間に見せることができます。
2. プライバシーを守りながら外を楽しむ
▸ 中庭・コの字型プランで“囲われた開放感”を
通りに面した開口を避けながら、家の中心に光と風を取り込む設計。
特に平屋では、外に開きながらも安心感のある“囲われた抜け”が生まれます。
▸ 植栽でやわらかく目隠しする
塀ではなく“緑”で外と内を仕切ると、光の揺らぎや季節の移ろいを感じられます。
シンボルツリー1本でも、窓越しに自然を取り込むことで空気が変わります。
3. 光と風を取り込む“窓のデザイン”
▸ 窓は「景色を切り取る道具」
どこに座ると何が見えるか。
窓を通して“暮らしの風景”をデザインすることで、
小さな開口でも豊かな外の表情を楽しめます。
▸ 開ける窓・閉じる窓のバランス
すべてを開放するよりも、あえて“抜け”を残して囲うことで、
居心地の良い落ち着きが生まれます。
窓の形・高さ・視線の抜け方を、敷地ごとに丁寧に考えます。
4. 外とのつながりが生む“暮らしの変化”
▸ 家時間が自然と豊かになる
朝の光を浴びながらコーヒーを飲む、
デッキで洗濯物を干す、
夜に窓越しの月を眺める。
そんな何気ない時間が、外とのつながりによって特別な瞬間に変わります。
▸ 小さな敷地でも“広がり”を感じる工夫
中庭や坪庭を設けると、限られた敷地でも風と光の抜けがつくれます。
閉じながら開く。これが、都市部でも開放感を得る設計のコツです。
まとめ
“外とつながる暮らし”は、面積ではなく設計の考え方で生まれます。
「視線の抜け」「素材のつながり」「光の入り方」——
その一つひとつが、居心地のよい家をつくります。
中村建築研究室では、
土地の形や周囲の環境を読み取りながら、
その場所でしか生まれない“内と外の距離感”を設計しています。
